2009年7月31日金曜日

□日本トランスパーソナル心理学/精神医学会 第10回学術大会

大会テーマ:「10周年を迎え、トランスパーソナル心理学の原点を問いなおす」

日程:2009年11月22日(日)~23日(祝)
会場:明治大学駿河台校舎

協賛:明治大学意識情報学研究所

□大会実行委員長挨拶 蛭川 立(明治大学情報コミュニケーション学部・意識情報学研究所)

 トランスパーソナル心理学は、もともと臨床的な色彩の強い分野であり、さらに社会的な運動へと発展していく志向性を持つ分野でもあります。その発祥は、ベトナム戦争期の欧米、とくにアメリカ西海岸を中心とする中産階級の白人文化と切り離して考えることはできません。戦争と救命医療の進歩が臨死体験者を増加させ、西洋文明の行き詰まりの感覚から東洋思想への関心が高まり、禅やヨーガなどの実践が広まり、先住民文化の再評価とカウンターカルチャーはサイケデリックスの使用と結びついていきます。
 その過程で彼[女]らが体験した、さまざまな変性意識状態や超心理現象は、西洋で心理学が科学として確立していく過程で、陰の部分として周縁化されてきたものでした。しかし、それらを扱うことができる総合的な心理学があらためて求められてきたとき、形成されていったのがトランスパーソナル心理学だったといえるでしょう。
 それが文化的な文脈の異なる80年代以降の日本に輸入されたとき、その原点がぼやけてしまったという感は否めません。それから20年以上の時間をかけて、トランスパーソナルという言葉自体はカタカナ語としては徐々に定着してきましたが、かならずしも学術的な研究が盛んになってきたとは言いがたい状況にあります。そして一方では単純な癒しブームや、玉石混淆のスピリチュアル文化と混同されたり、あるいは世直し運動の道具として、その本質がよく理解されないまま安易に名前だけが利用されてきたということも少なくありません。
 私は、トランスパーソナル心理学というディシプリンは、もっと特殊で先鋭的な問題を扱う分野であると考えています。たとえば、臨死体験や祈祷による病気治療のような、超心理学と重複するような現象、あるいは、サイケデリック体験やクンダリニー現象など、現代の日本ではそれらを経験する人々自体が少数であるがゆえにあまり問題にされていないけれども、じつは時代や文化を超えた普遍的な、それゆえ人類全体にとって本質的な問題をはらんだ現象、しかし他の心理学の分野では扱うことのできない現象が存在すること、それがトランスパーソナル心理学が存在し、必要とされる所以であると考えます。
 本学会の年次大会も10周年を迎える節目の年でもあり、もう一度原点に戻って、なぜトランスパーソナル心理学という分野が必要なのか、それに何ができるのか(あるいは、必要ないとしたら代わりに何が必要か)ということを、皆さんと一緒に考えたいと思っています。

□会場・会期

会場:明治大学 駿河台校舎
  *会場までの地図はこちらをご覧下さい
会期:2009年11月22日(日)〜23日(月)

□学術大会プログラム(10/16更新)

○11月22日(日)学術大会1日目

09:00〜 受付 アカデミーコモン9階 309A教室入口
09:15〜 開会
       堀 エリカ(総合司会/立教大学)
09:20〜 開会挨拶
       蛭川 立(大会実行委員長/明治大学)
       「10周年を迎え、トランスパーソナル心理学の
        原点を問いなおす」
10:00〜 休憩
10:15〜 個人研究発表(1)
       座長 安藤 治(国立クリニック)
11:55〜 休憩
12:00〜 理事会
13:50〜 個人研究発表(2)
       座長 合田 秀行(日本大学)
14:40〜 休憩
15:00〜 特別対談
       鏡 リュウジ(平安女学院大学)× 蛭川 立(明治大学)
       「共時性のコスモロジー」
17:30  終了
18:00〜 懇親会 アカデミーコモン1階 カフェ・パンセ
       (別料金/予約あるいは当日受付)

○11月23日(月・祝)学術大会2日目

09:00〜 受付 リバティータワー8階 1083教室
       (1日目と会場が異なるのでご注意ください)
09:15〜 開会
       堀 エリカ(総合司会/立教大学)
09:30〜 個人研究発表(3)
       座長 田中 彰吾(東海大学)
10:35〜 休憩
10:50〜 個人研究発表(4)
       座長 安藤 治(国立クリニック)
11:40〜 休憩
13:00〜 総会
13:30〜 休憩
13:45〜 特別シンポジウム「超心理学とトランスパーソナル心理学」
       座長 蛭川 立(明治大学)
          石川 幹人(明治大学)
          「超心理学の現状と展望」
          小久保 秀之(国際総合研究機構/明治大学)
          「時間感覚と研究感覚」
          渡辺 恒夫(東邦大学)
          「宇宙のアノマリー(変則事象)としての
           自己と他者」
16:30〜 休憩
16:45〜 個人発表(5)
       座長 石川 勇一(相模女子大学)
18:00〜 休憩
18:15〜 閉会の辞
18:30  終了

個人研究発表演題(10/16更新)

○11月22日(日)学術大会1日目

10:15〜 個人研究発表(1)(発表は15分強、質疑応答は10分弱)
       座長 安藤 治(国立クリニック)
        ・市川きみえ(立命館大学)
         「出産体験における神秘性」
        ・岩崎美香(明治大学)
         「日本人の臨死体験 〜一人称の死体験〜」
        ・里村生英(エリザベト音楽大学)
         「音楽死生学臨床実践における死の捉え方、患者観、
          音楽提供の意図 〜臨死期の患者への
          スピリチュアル・サポートとしての観点から〜」
        ・寺西光輝(日本福祉大学)
         「老子における『道』と変容のプロセス」

13:50〜 個人研究発表(2)
       座長 合田秀行(日本大学)
        ・岡野利津子(学習院大学)
         「プロティノスの哲学体系と神秘体験」
        ・巻口勇一郎(常葉学園短大)
         「クンダリニーの目覚め(クンダリニー症候群)と
          その可能性について 〜生理、心理、文化、社会〜」

○11月23日(月・祝)学術大会2日目

09:20〜 個人研究発表(3)
       座長 田中彰吾(東海大学)
        ・渡辺恒夫(東邦大学)
         「宗教的世界観や精神病理的体験を
          自我体験・独我論的体験の現象学によって解明する」
        ・林 貴啓(立命館大学)
         「『問い』と『答え』の見地 〜スピリチュアリティを
          理解するためのひとつの補助線〜」
        ・久保隆司(アライアント国際大学)
         「ポスト・トランスパーソナル心理学としての
          ソマティック心理学 〜ケン・ウィルバーの
          インテグラル理論の観点から〜」

10:50〜 個人研究発表(4)
       座長 安藤 治(国立クリニック)
        ・村上祐介(関西大学大学)
         「子どものスピリチュアリティに関する基礎的
          研究(2) 〜自由記述に焦点をあてて〜」
        ・塚崎直樹(つかさき医院)
         「公案の意味と可能性」

16:45〜 個人研究発表(5)
       座長 石川勇一(相模女子大学)
        ・風間明日香(京都大学)
         「退行療法から生命(いのち)をみつめる
          〜生まれ変わりの「体験」を通して〜」
        ・竹重 幸(名古屋大学)
         「現代青年の生きづらさに関する人間科学的一考察」
        ・井上博登(REIMEI)
         「トランスパーソナル心理学における
          GDVの現状と可能性」

□学術大会抄録集(11月16日更新)

学術大会の抄録集を作成しました。
こちらからダウンロードできます。
対談やシンポジウム、個人研究発表の抄録のほか、大会プログラムや会場への地図も収録されています。

□研究発表の募集は9月30日で締切りました

表題どおり、研究発表の募集は9月30日で締切りました。

なお、発表は学術大会の時点で学術会員でなければできません。非会員のかたの発表も仮に受理いたしましたが、この場合、すでに個別にお知らせいたしましたとおり、学術会員になるための申し込みも別途必要です。学術会員として承認される(承認されない場合もあります)手続きには多少の時間がかかることを見越しておいていただければ幸いです。